夏の東京No.1を決める伝統の大会、東京都知事杯49回東京都学童軟式野球大会フィールドフォース・トーナメントは6月21日、八王子市の滝ガ原運動場野球場2回戦16試合を行い、全日本学童東京大会覇者の船橋フェニックス(世田谷)をはじめ用賀ベアーズ(同)、不動パイレーツ(目黒)などが勝ち上がった。北原少年野球クラブ(練馬)は南六郷ライダース(大田)に僅差で勝利、高輪クラブ(港)は9点ビハインドからの逆転劇で、高島エイトA(板橋)に競り勝った。
(本文&写真=鈴木秀樹)
※記録は編集部。全試合の結果速報ではありません
※公式記録は東京都軟式野球連盟のホームページでご確認ください
――2回戦Pick UP――
6月21日◇八王子市滝ガ原運動場野球場
▽6面第1試合
北原少年野球クラブ〇7対6●南六郷ライダース
好左腕2枚攻略し接戦制す
北原少年野球クラブが南六郷ライダースの左腕2枚看板を打ち崩して勝利を収めた。
先制は南六郷。1回表、二死二塁から四番・仙頭秀駿主将が適時打を放った。南六郷は3回にも仙頭主将と5年の五番・丹治想の連打などで2点を加えた。
これを追う北原は、1対3で迎えた3回裏に打線が奮起。南六郷の先発・角田楓(=㊦写真上)から、四番・山口銀士郎と5年の五番・小高祐士(=㊦写真下)が連続適時打を放ち3点を加え逆転した。


南六郷も直後の4回、一番・角田と二番・中野耀允が連続本塁打を放つなど再逆転したが、北原は南六郷・仙頭主将がリリーフのマウンドに上がった5回にも打者9人の猛攻で3点を奪い、再び逆転し試合の主導権を握った。
最終6回表、南六郷に1点を返されたものの、北原はリリーフ・天鷲斗希が力投、バックも好プレーでもり立てて踏ん張り、逃げ切って3回戦へとコマを進めた。
この日は飯島佑斗主将が学校行事のため不在だった北原。山口友博監督は「スタメンに3人いる5年生も含め、みんながよくカバーして戦ってくれました」と奮闘のナインをねぎらう。「投手陣も頑張ってくれたし、全員で勝ち取った1勝ですね」

試合を決める一打となった、左越え適時三塁打を5回に放った途中出場の5年生、田代雄也(=㊤写真)は「相手は球が速くて良いピッチャーだったから、とにかく自分のスイングをするんだと思って打席に入りました。チームみんな、『楽しんでプレー』を心がけています。その言葉どおりに楽しめた打席でした」とニコニコだった。
「全員笑顔で、まとまりよくプレーできています。次もこの流れで」と山口監督。北原ナインの笑顔が再び、滝ガ原にあふれるはずだ。

▽B面第3試合
高輪クラブ〇11対10●高島エイトA
(5回時間切れ)
9点差覆す勝利に指揮官も涙
「厳しい戦いになることは予想していましたが、こんな展開になるとは…。とにかく、みんながよく打ってくれました」
9点差からの猛攻で逆転勝ち。高輪クラブ・海老原城一監督は笑顔でそう話したが、その目にうっすらと浮かぶ涙が、これ以上ない戦いの厳しさを物語っていた。
「相手の先発投手が素晴らしかった」
海老原監督が試合を振り返る。
高島エイトAの先発は大久保陽梨(=㊦写真)。手元で伸びる球にタイミングが合わず、高輪打線が沈黙、3回までゼロで抑え込まれた。


一方で、好調の高島打線に得点を重ねられた。1回裏、高島の二番・飯塚透に滝ガ原B面・C面名物の「水道橋直撃本塁打」を浴びると(=㊤写真)、九番の刀川恵介に2打席連続二塁打(=㊦写真)、3回には三番・工藤仁大にも本塁打を打たれるなど、3回終了時、得点は0対9まで開いていた。

それでも、4回に敵失と野村優彌の適時三塁打で1点を挙げた高輪は、5回に打線が爆発。先頭の5年生、九番・野田悠介が右越えの本塁打を放つと、鈴木碧馬が安打で続き、二番・冨士岡奏太が左越えの2ラン。球数制限に達した高島・大久保がマウンドを降りた後も打線の勢いは止まらず、冨士岡がこの回2打席連続となる3ランを放つ(=㊦写真)など、打者13人10得点で一気に逆転した。
ここで制限時間を迎え、その裏、高島に1点を返されたが、マウンドの高輪・野村雄大が踏ん張り、1点差を守り切って勝利を収めた。
大逆転劇を演じ、勝利で戦いを終えた高輪ナインの多くが涙。岩本廉太郎主将はすすり上げながら、「ラッキーもあったけど、みんなが諦めなかったから、流れに乗れたと思います。次も集中力高く戦いたいです」と話した。

一昨年の秋、低学年(4年生以下)チームの東京一を競うマクドナルド・ジュニアトーナメントでは、用賀ベアーズに次ぐ準優勝を果たすなど、この学年では都大会でも上位を争ってきた高輪だが、地元・港区の春季大会ではオール麻布に敗れ、全日本学童東京予選への出場を逃す、悔しい思いも味わった。
それだけに、今大会にかける高輪ナインの思いは強い。海老原監督は「大量リードにも諦めることなく、最後までよく戦ってくれた」と選手らをたたえた。
試合を決める本塁打を放った冨士岡は「自分が投げた3回に失点してしまい、悔しさと、申し訳ない気持ちがありました。これでプラマイゼロくらいだと思っています」と冷静に振り返る。逆転のシーンについては、「『もう一度、自分に回ってこい』と思っていました。ホームランになってうれしかった。次はもっと、ピッチングもバッティングも、相手に負けない強い気持ちでプレーしたいです」
難敵を大逆転で下し、ベスト16入り。海老原監督は「チームに勢いをつけてくれる勝利。これからにつなげたいですね」。実力チームが、いよいよ本領発揮だ。

高島・藤井監督、最後の采配に
高島エイトAにとっては、まさかの敗戦。前半は先発・大久保の好投に加えて守備もさえ、完全に試合を支配していただけに、試合後は涙を流す選手よりも、ぼう然と肩を落とす姿が目立った。

「終わっちゃいましたね」
そうつぶやく藤井誠一監督には、また別の思いもあったに違いない。
7月には勤務先での転勤が決まっており、6月いっぱいで、17年間にわたって指揮を執ってきた高島を離れることになるのだ。この日敗れたことで、これが都大会で指揮を執る最後の試合となった。
チーム代表の三浦博一さんが話す。
「最近、引退されましたが、世田谷の山野レッドイーグルスで長く監督をされてきた釜屋(邦明)さんが、(この大会を3度制覇するなど)東京都大会では抜群の勝ち星を挙げられています。ウチの藤井監督はそれに次ぐ勝利数だと思いますよ」
この大会では2度優勝しており、優勝チームに出場権が与えられる関東学童大会(現在はコントリビュートカップ)での優勝も1度。3年前には、全日本学童マクドナルド・トーナメント全国大会にもチーム初出場を果たしている。

「よくあるパターンですが、息子と一緒にチームに入り、コーチから始まり監督に。長かったですね」
藤井監督が振り返る。
監督就任は、高島が都大会の常連になり始めた時期と重なる。今から50年以上前の創部当時、「高島8丁目町会」のチームとしてスタートしたエイトにも、その頃から「このチームで野球がしたい」と区内外から多くの選手が集まるようになった。
「今ではありがたくも『強豪』なんて言ってもらったりしますが、子どもたちに『エイトで野球をしてよかった』と思ってもらい、中学でも野球を続けてくれる選手を育てることを第一にしよう、という方針はずっと変わっていません。いつも三浦代表と話しているんです」
藤井監督は今回の転勤を機に、一度、少年野球から離れるつもりだという。
「まあ、またしばらくしたら、グラウンドに試合を見に行くことはある…かな」
勝負に厳しく、選手に優しい名物監督。またどこかで会えることを楽しみにしたい。